経営者のすべき仕事とは?

CFO

経営者のすべき仕事とは?

経営者の仕事とは、大きく分けると4点あります。
それは、①経営理念の浸透、②PDCAを回す、③リソースの調達と配分、④エグゼクティブへの渉外活動です。

では、具体的には何をすれば良いでしょうか?

  1. 経営理念の浸透
  2. PDCAを回す
  3. リソースの調達と配分
  4. エグゼクティブへの渉外活動

① 経営理念の浸透

近年では、ミッション・ビジョン・バリューの設定が、ポピュラーです。

中でも私はビジョンが最も重要だと考えています。

ビジョンとは、現在の自社が置かれる状況があり、そして5年後や10年後に目指す到達点を示すということです。
しかし、なぜその目標を掲げるのかという理由を論理的に説明することは難しいです。

その「なぜ」こそがミッションです。
それは天命とも言える果たすべき使命です。

つまりミッションとは、ビジョンを裏付ける理由です。
この理由とビジョンをしっかり結びつけることで、ビジョンの論理的な説明ができるようになります。
これは経営者が決めるべきものです。

では、どうしたら、より良いビジョンを設計できるのでしょうか?
ポイントは、(A)戦略と(B)組織です。

(A)戦略とは、事業戦略全般です。
どのようなプロダクト・サービスを、どのように開発・セールス・管理などをしていくか?

手法は様々です。

しかし、これは、あくまでも企画でしかありません。

この企画を実現するためには、(B)組織を創る必要があります。
営業部、開発部、カスタマーサポート、管理部などチームを構築します。
そこには部長や課長、スタッフというようなレイヤーの違う人たちが集まります。

当然ながら、個々人のキャラクターや性格も異なります。
積極的な人もいれば、慎重な人もいるでしょう。

すると次に生じるのが、メンバーにどのように動いてほしいかを考える必要があります。
そこで大事になるのが組織の「価値基準」を考えることです。

これがバリューです。行動基準、価値観、ウェイなどと言われることもあります。
価値基準を整えない限り、組織をマネジメントすることは困難になります。

(A)戦略と(B)組織がリンクすることは、ビジョンを達成するために必須です。
以上のようなことが設計されて、初めて会社は動くことができます。

これらのミッション・ビジョン・バリューなどを合わせて、経営理念と呼びます。

「会社として目指す地点はどこか?」
「どのような人に、どのような動きを求めるか?」
「戦略はどのようなものにするか?」
「戦略を実現するには、どのような組織が必要か?」

このような創造は、経営者の仕事であり、スタッフに任せるものではありません。
経営者が「本気で実現したいこと」を考え、社外・社内問わずコミュニケーションを図ること。

これは、経営者にしか出来ない仕事です。

② PDCAを回す

上記の説明で、戦略は、「企画」でしかないと言いました。
では、どうしたら企画を「現実」のものにできるでしょう?

それには組織を動かして、PDCAサイクルを回すことが必要です。
(※PDCAは一般的な経営管理として浸透しているので、詳細は割愛します。)

(P)とは戦略策定、
(D)とは実行のことを指し、
これらはまさに組織マネジメントそのものです。

創業当初は、経営者自らが物を販売したり、開発したりもするかもしれません。

しかし事業の拡大に伴い、全体規模で業務が複雑化してくると、これらの仕事はメンバーに任せることとなります。

戦略を実行していくと、成功するケースも失敗するケースもでてきます。

いずれの場合に対しても、(C)チェックが必要です。
チェックには、定性的なものもあれば、定量的なものもあります。

チェック結果に対して(A)改善を図り、
以後の戦略・計画に活かしていくのがPDCAです。

これらを行うことは必須ですが、中小・ベンチャー企業の場合は時に問題が生じたりします。

リソースが少ない割に、実行したいことが多く出てきたりします。

よく起こりがちなのが、次のような事象です。

● P→D→P→Dであったり、
● D→D→D→Dとなってしまう事もよくあります(笑)

チェックができていなければ、物事が思わぬ方向に進んでしまうこともあります。
P→D→P→D だけでは、メンバーが疑問や不満を抱きかねません。

幹部の決定では上手くいかないのではないか?と、思われてしまうこともあります。
そのため、PDCAはきちんと回す必要があるのです。

しかし、いくら頭では理解をしていても、現場に入り込んでしまうと難しくなります。

だからこそ、一歩引いた目線で、客観的・俯瞰的に計画を立てて運用していく必要があります。

一般的に、社長はDが好きな人が多い?のではないでしょうか。

その姿勢に疑問を感じたとしても、他の取締役や部長などは、雇われの身ゆえに社長に意見を言いづらいのが現実です。

こういったサイクルを創るのは社外の人間だとうまく機能する可能性があります。

つまり、チェックやその後の改善提案は、社外の人間に頼むのも有効です。

③ リソースの調達と配分

リソースとは、いわゆる経営資源にあたる人・物・資金・情報です。
当然ですが、経営にはこれらが必要です。

しかし、中小・ベンチャー企業ではリソースが不足しています。

では、どのように人や資金を調達するのが良いでしょうか?

実現できる人材が不足しており、大企業のように潤沢でもない。
そうすると、必然的に経営者が”がんばる”しかありません。
経営者自らが、人を採用し、資金を調達することになります。

一般的には数字、特にお金に強い経営者は多くありません。

管理が得意だから起業をするという人は、あまりいないのではないでしょうか(笑)

普通は、物を作るのが得意だったり、
人と話をして物を売るのが得意だったり、
事業構想のアイディアが豊富だったり、
これらが創業経営者の得意分野であることが多いです。

では、実際に会社の状況などを数字にして外部へ伝えたりするのは得意でない。
お金を調達するには、借入であれば銀行と話したり、エクイティーの調達ならベンチャーキャピタルと話したりする必要があります。

そのあたりは経営者は得意でなかったり、面倒くさいと思ったりするものです。
※ただし、お金を調達すれば、それだけでうまくいくわけではないので注意してください。

人の部分では、経営者は人に対して自信を持っている人が多いです。

しかし、ふたを開けると・・・。
スタッフは経営者に忖度(そんたく)するので、経営者もその気になってしまう。。

実際にスタッフと1on1などで話を聞くと、経営者が把握していることと違うことが多いです。

人や組織マネジメントは、痛い思いをしながら学んでいくのが通常です。
ツールを使ったり分析したりしながらマネジメントしていく必要があります。

さて、このようにして得たお金や物や人などをどう活用するのか?

当然ですが、利益や業績にインパクトのある部分に活用する必要があります。

しかし、このあたりは意外と”ざっくり”しています。

セグメント別に損益が分かるか?

損益だけでも不十分です。
適切な尺度をもって配分する必要があります。

予実管理や、人事評価制度など、データがあると整理しやすいです。

これには1年ぐらいかかります。

④ エグゼクティブへの渉外活動

どこかの企業と事業提携したり、新規事業をしたり。
これらは「大きな仕事」です。

部長もスタッフも、基本的には経営者の思いを実現する人です。
枠(わく)の中で枠(わく)をきれいにしていく人々です。
枠(わく)を広げるのは、基本的には経営者しかできません。

会社の枠(わく)を埋めるだけでは、5~10%の成長は望めたとしても、大きくスケールさせるのは難しいです。

経営者には、会社の外に出てネタを探したり作ったりする役割があります。
夜に会食をしたり、お酒を飲みながらの接待をしていると、スタッフから「社長はいつも夜遊びしている。。」と思われるかもしれません。

それは気にする必要はありません。

●社交的な経営者であれば、ハメを外さない程度にやってほしいです。
●社交的でなければ、できるだけそのような機会にも目を向けてほしいです。

思いもよらない場面で、事業のコラボレーションが生まれたり、
人を紹介してもらえることもあるでしょう。
新しい視点が生まれ、アイディアが浮かぶかもしれません。
自分を客観視する良い機会になるかもしれません。

ぜひ、会社の外に出て、ネタやお金を持ってきてください。

まとめ

①経営理念の浸透、②PDCAを回す、③リソースの調達と配分、④エグゼクティブへの渉外活動、といった4つの視点で解説いたしました。
会社が成長してくると、経営者一人でこれら全てを実行するのは不可能です。
だからこそ、CEO、COO、CFOといったトップマネジメントが役割を分担することが一般的なのです。

コメント